歯周病の進行

歯の周辺にプラーク(食べ残し)や歯石がたまり、そこに歯周病の原因菌が集まります。
やがて細菌が増えだし、歯ぐきに炎症を起こす状態になります。(歯肉炎~軽度の歯周病)
よごれがたまったままの状態でいると、歯をかこんでいるアゴの骨が溶かされていきます。骨の量が少なくなってくると歯がゆれはじめ、痛みが出てきます。さらに進むと抜歯しなければいけません。(中程度~重度の歯周病)

歯周病の怖いところは、ある程度進行しないと自覚症状が出ないことと、進行してしまうと元の状態に戻すことが大変難しいことです。 進行しないうちに定期的なクリーニングをして、予防していくことが大切です。

当院の歯周病治療

当院では、より痛みの少ない治療を心がけております。

○細菌検査

歯周病菌検査キットと位相差顕微鏡による歯周病菌の検査です。
歯周病の進んでいる所のプラーク(食べ残し)を取り、検査していきます。
細菌の量や活発さが多ければ、病状が進行しているといえます。
歯周病の治りを悪くしている菌の発見もできるので、対応策をたてるために役立ちます。

細菌検査
○歯石、プラークの除去(炎症の除去)

歯周病を進行させる要因は炎症と力です。
炎症は細菌が出す毒素のようなものによって起きるので、まずは口の中にいる細菌の量を減らすために、細菌の巣のようになっている歯石やプラークをクリーニングして除去します。
細菌は歯石やプラークの中に長い間住みつくと、バイオフィルムという自分達を守る膜を作ります。台所の三角コーナーの裏につくぬめりの様なものですが、このバイオフィルムの厄介なのは通常の歯ブラシでは取れない所、デンタルリンスが効きにくくなってしまう所です。
歯科医院の専門器具でバイオフィルムをやっつけましょう。
プロのクリーニングを受けて、すっきりしたお口の中にしてください。
クリーニング、歯石除去を受けると、治療後に歯のしみや痛みを感じる事がありますが、ほとんどの場合一時的なものです。また、腫れている歯ぐきがひきしまると、歯が伸びたような感じになることがあります。
ちなみに一度きれいになった口腔内はいったん細菌の量が減りますが、また元に戻ってくると言われているので、定期的にメンテナンスをしないと歯周病が進行しやすい状況に戻ってしまいます。細菌が元の量に戻るのは3~6ヶ月といわれているので、それくらいの期間でメンテナンスを受けるのが良いといわれています。

歯周病の初期治療 歯石、プラークの除去
バイオフィルム
バイオフィルム
○かみ合わせの治療(余分な力の除去)

歯周病を進行させる要因は炎症と力です。 かみ合わせの力が多過ぎる所はほんの少し歯を削って負担を減らしてあげたり、抜いたままになっている所には何か入れてあげて他の歯の負担を小さくしていきます。
もし削ることになっても、削る量としてはほとんどの場合、つめを切った後にかける「やすり」で、つめを平らにする時と同じくらいの削除量と思ってください。
もちろん削らないに越したことはないので、無理には削りません。

○PMTC

クリーニングの一歩進んだ治療です。
歯の表面についているバイオフィルムを除去した後に表面にある小さくて見えない脱灰部分(くぼみ、またはとても小さな虫歯の元)を補修していく予防処置を行います。
まな板を長年使っていると包丁によって傷がつき、そこから着色がついて汚れていく経験はありませんか?歯も長年たつと、とても小さな虫歯や、歯磨き粉の中の研磨剤などで傷がつき、そこに着色汚れがたまって、さらに虫歯、歯周病が進んでいきます。PMTCで常にツルツルな歯の表面を保つことによって、汚れのたまりにくい口腔内に変化させることができます。
口の中は常に、歯が溶け出す「脱灰」と、元に戻る「再石灰化」が繰り返し行われていますが、この再石灰化のほうを強くすることができるので、虫歯予防にも歯周病予防にもとても効果的な方法です。

PMTCで常にツルツルな歯の表面を保つ
○歯周内科

飲み薬で歯周病を治すという新しい治療法です。
一部の菌に有効な薬剤を検査の上で内服してもらうことにより、特定の歯周病菌の作用を減らして口腔内環境を良くしていきます。ただし薬の投与は無理にはせず、よく相談の上で行います。
長年歯周病で困っている方は、一度ご相談下さい。

おくすり
○歯周外科

歯周病が進行していて、歯石除去、クリーニングが終わっても、まだ病状が安定しない方への歯ぐきの手術です。
骨がないところに足す処置をしたり、再生処置をしたりと、歯の保存のための手術です。

歯周内科

歯周病を予防するために

歯周病を予防するためには、口腔内の衛生状態を良くするとともに、生活習慣の改善が必要になります。

○口腔内の清掃

定期的な歯科医院での検診、クリーニングに加えて正しいブラッシングの仕方を身につけます。歯ブラシ以外の補助器具(フロス、歯間ブラシなど)も使用してホームケアに役立ててください。
デンタルリンスも効果的です。

フロス、歯間ブラシなど
○全身疾患のコントロール

糖尿病などの全身疾患は歯周病の症状を悪化させますので、内科での管理や食生活の改善が必要になってきます。逆に歯周病の治療によって糖尿病の症状が改善される場合があります。

○喫煙

喫煙は歯周病を進行させる因子の一つです。ヘビースモーカーの人はたばこを吸わない人に比べて約5倍のスピードで歯周病が進行すると言われています。
なるべくなら禁煙や、どうしても難しければ1日5本以下にすることをお勧めします。

喫煙